○加美町中小企業及び小規模企業振興基本条例
令和5年3月20日
条例第15号
世界農業遺産「大崎耕土」を潤す鳴瀬川とその支流である田川は、それぞれ旧小野田町及び旧宮崎町を水源とし、流域に広がる肥沃な田園地帯では町の基幹産業である農業が盛んに営まれ、幾度となく襲い掛かる冷害や水害を乗り越えながら、豊かな大地の恵みを実らせている。また、鳴瀬川はかつて舟運路に利用され、旧中新田町は物流の中心地として大いに栄え、にぎわいを形成してきた。清流がもたらす豊かな水や農産物、人のにぎわいなどを背景に、加美町の企業の大半を占める中小企業者等は、製造業や卸売業、小売業など幅広い分野の産業において、加美町の地域経済を支えてきた。
加美町の発展は、平成15年の合併以前古くより、地域に根差した産業とそれを担う中小企業者等によって支えられてきたのである。
しかしながら、近年、都市部への人口流出や少子高齢化が急速に進展し、地元消費の減少や人材・後継者不足といった問題に悩まされるなど、中小企業者等の経営は厳しい状況に置かれ、活力の低下や存続の危機が懸念される。
本町の持続的な発展には、地域経済を支える中小企業者等の意欲的で創造的な活動を支援し、町内における経済循環や町外からの財の獲得を進め、若者から高齢者まで、すべての町民が豊かな生活を営むための安定した基盤を築き上げることが不可欠である。その実現のため、中小企業及び小規模企業の振興に関する基本理念と方向性を示し、町全体がひとつとなって取り組んでいくための指針とするべく、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、本町における中小企業者及び小規模企業者(以下「中小企業者等」という。)が、地域経済に果たす役割の重要性を鑑み、その振興に関し基本理念を定め、町、中小企業者等、産業団体等及び町民の役割を明らかにするとともに、中小企業及び小規模企業の振興に関する施策の総合的な推進を図り、その持続的発展をもって地域経済の活性化及び町民生活の向上に寄与することを目的とする。
(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定される中小企業者で、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(2) 小規模企業者 中小企業基本法第2条第5項に規定される小規模企業者で、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(3) 産業団体等 商工会(商工会法(昭和35年法律第89号)に規定される商工会)その他中小企業及び小規模企業の振興を支援する団体で、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(基本理念)
第3条 中小企業及び小規模企業の振興は、中小企業者等が地域の経済及び雇用を支える担い手として重要な役割を果たしていることを踏まえ推進されなければならない。
2 中小企業及び小規模企業の振興は、中小企業者等による創意工夫及び自主的な取組を支援することを基本として推進されなければならない。
3 中小企業及び小規模企業の振興は、中小企業者等の事業の持続的発展を図ることを目的として推進されなければならない。
4 中小企業及び小規模企業の振興は、町、中小企業者等、産業団体等及び町民が連携しながら推進されなければならない。
(町の責務)
第4条 町は、基本理念に基づき、中小企業者等の創意工夫及び自主的な取組を尊重し支援するものとする。
2 町は、基本理念に基づき、中小企業者等の状況を的確に把握し、適切に施策に反映するものとする。
3 町は、前2項の規定に基づき、中小企業及び小規模企業の振興に関する施策を実施するものとする。
(中小企業者等の努力)
第5条 中小企業者等は、基本理念に基づき、その事業の持続的発展を図るため、自主的に経営の改善及び向上を図るよう努めるものとする。
(産業団体等の役割)
第6条 産業団体等は、基本理念に基づき、中小企業者等の経営の改善及び向上に積極的に取り組むとともに、町が実施する中小企業及び小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(町民の理解と協力)
第7条 町民は、基本理念に基づき、中小企業者等が地域経済の活性化、雇用環境の整備等、町民生活の向上において重要な役割を果たしていることを理解し、中小企業者等の健全な発展に協力するよう努めるものとする。
(基本的施策)
第8条 町は、その責務を果たすため、次に掲げる施策を実施するものとする。
(1) 経営資源の確保、経営基盤の強化及び経営の安定に関すること。
(2) 事業承継及び創業促進に関すること。
(3) 人材育成、雇用の確保及び定着に関すること。
(4) 販路の開拓、新商品等の情報発信及び研究開発能力の育成に関すること。
(5) 資金調達の円滑化を図るための融資制度等に関すること。
(6) 前各号に掲げるもののほか、中小企業及び小規模企業の振興に関すること。
2 町は、前項の施策の策定に当たって、中小企業者、小規模企業者、産業団体等の意見を聴取し、町内中小企業者等の実態を把握するよう努めるものとする。
(小規模企業者への支援)
第9条 町は、前条に掲げる施策の推進にあたり、特に経営資源の確保が困難である小規模企業者の実情を踏まえ、小規模企業者に対するきめ細かな支援に努めるものとする。
(計画の策定)
第10条 町長は、中小企業及び小規模企業の振興に関する施策の推進を図るため、中小企業及び小規模企業の振興に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。
2 基本計画を定めるときは、あらかじめ中小企業者等及び産業団体等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
(財政上の措置)
第11条 町は、中小企業及び小規模企業の振興に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(委任)
第12条 この条例に定めるもののほか、中小企業及び小規模企業の振興に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附則
この条例は、令和5年4月1日から施行する。