○加美町議会基本条例
平成28年3月22日
条例第2号
平成の大合併により、加美町は2003年に県内の第1号として誕生した。2000年4月には、地方分権一括法により機関委任事務制度が廃止され、自治体に対する関与の縮減や権限委譲が行われた。
これに伴い、自治体の自己責任と自己決定権が大幅に拡大し、議会に求められる役割及び責務はさらに増大することとなった。その役割を果たすため、二元代表制の趣旨を踏まえ自治体の自立に対応できる議会へと自らを改革する必要に迫られている。
これまでに、本議会は「住民に開かれた議会」をめざして、IT(情報通信技術)の活用など、審議資料や審議結果の公表・情報公開に積極的に取り組んできたところである。
今後の課題として、議員間の自由闊達な討議の機会や住民参加の場などについて、なお一層の拡大が必要である。それは、とりもなおさず住民の多様な意見を代表できる合議機関としての特性を発揮することになる。そこで、地域の課題に真摯に向き合い、議会の機能である町政の監視・評価及び政策提言・提案に努め、協働のまちづくりを推進する決意である。ここに、最も根幹となる支柱・基盤として、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、二元代表制における議会の役割を踏まえ、議会及び議員の活動原則、その他議会に関する基本事項を定めることにより、公平・公正で透明な議会運営に努め、住民福祉の向上及び町政の発展に寄与することを目的とする。
(議会の活動原則)
第3条 議会は、次に掲げる原則に基づいて活動する。
(1) 公正性及び透明性等を確保し、町民に開かれた議会を目指すこと。
(2) 町民の意見を的確に把握し、町政に反映させるための運営に努めること。
(3) 町民への説明責任を果たし、議会活動への町民参加を推進するとともに、傍聴意欲を高める議会運営を行うこと。
(議員の活動原則)
第4条 議員は、次に掲げる原則に基づいて活動する。
(1) 町政の課題全般について、町民の意見を的確に把握するとともに、町民全体の福祉の向上を目指して活動すること。
(2) 日常の調査及び研修活動を通じて、自らの資質の向上に努め、町民の代表者としてふさわしい活動を行うこと。
(3) 議会が言論の場であること及び合議制機関であることを認識し、議員間の自由な討議を尊重するとともに、政策提案を積極的に行うこと。
(議員の政治倫理)
第5条 議員は、町民全体の代表者としての倫理性を自覚するとともに、良心と責任感をもって政治活動を行い、自己の地位に基づく影響力を不正に行使するなど、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。
(町民参加及び町民との連携)
第6条 議会は、本会議のほか、常任委員会、特別委員会及び全員協議会を原則公開する。
2 議会は、町民による請願及び陳情を政策提案と位置付けるとともに、その審議においては、これら提案者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。
3 議会は、町民からの要請に基づき、意見交換会等を開催し、議会が行う活動に町民が参加できる機会を確保するとともに、町民の意見を反映させた政策提言の拡大に努めなければならない。
(町長等と議会及び議員の関係)
第7条 議会の本会議における議員と町長及び執行機関の職員(以下「町長等」という。)の質疑応答は、広く町政上の論点、争点を明確にする。
2 町長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問に対して論点を明確にするため反問することができる。
(広報広聴の充実)
第8条 議会は、議会の視点からの町政及び議会に係る情報を、多様な手段を活用し町民に周知することに努めるものとする。
2 議会は、町民の意見及び要望を取り上げるための、広聴活動に努めるものとする。
3 議会は、インターネット及び広報紙等を活用して、町民が議会活動についての関心を深められるよう努めなければならない。
(町長による政策等の決定過程の説明)
第9条 議会は、町長等が提案する政策について、次に掲げる事項の説明に努めるよう求めるものとする。
(1) 政策等を必要とする背景
(2) 他の政策案等との比較検討
(3) 総合計画との整合性
(4) 関係ある法令及び条例等
(5) 政策等の実施にかかわる財源措置
(6) 将来にわたる効果及びコスト計算
(予算・決算における政策説明資料の作成)
第10条 議会は、予算案及び決算を審議するに当たっては、町長に対し施策別又は事業別の分かりやすい政策説明資料の作成に努めるよう求めるものとする。
(委員会等の適切な運営)
第11条 議会は、社会、経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、常任委員会、特別委員会等の適切な運営により機動力を高めなければならない。
2 委員会は必要に応じ、審査の経過等を町民に対し説明するとともに、町民との意見交換を積極的に行うよう努めるものとする。
(自由討議による合意形成)
第12条 議会は、議案等の審議又は審査においては、議員相互の自由な討議により議論を尽くし、合意形成を図るよう努めるものとする。
2 議長及び委員長は、議員相互の自由な討議が積極的に行われるよう議会の会議及び委員会を運営しなければならない。
(議員研修)
第13条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上に向け、議員研修の充実強化を図るものとする。
(議員定数)
第14条 議員定数は、条例で別に定める。
2 議員定数は、効率的かつ能率的な議会運営の視点からだけではなく、町民の代表である議会が、町民の意思を町政へ十分に反映させることが可能となるよう定める。
3 議員定数は、町民の意見の聴取及び反映に努めるとともに、人口、面積、財政力及び町の事業課題並びに類似自治体の議員定数と比較検討して定める。
4 議員定数の条例改正議案は、地方自治法の規定による町民の直接請求があった場合を除き、改正理由の説明を付して、委員会又は議員が提出するものとする。
(議員報酬)
第15条 議員報酬は、条例で別に定める。
2 議員報酬の条例改正議案は、地方自治法の規定による町民の直接請求があった場合及び町長が提出する場合を除き、委員会又は議員が提出するものとする。
3 議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題を考慮し、類似自治体の人口、面積、財政力等を参考に決定する。
(議会事務局)
第16条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議会事務局の調査及び法務機能の充実強化を図るよう努めなければならない。
2 議会は、議会事務局の体制を整備し、行政から独立した機関としての機能を向上させるよう努めなければならない。
(条例の見直し)
第17条 議会は、この条例の目的が達成されているか常に検証するものとする。
2 議会は、この条例の改正が必要な場合は、速やかに適切な措置を講ずるものとする。
附則
この条例は、平成28年4月1日から施行する。