加美郡四日市場村御蔵守長五郎 200両献金の‘生き証人’ 再び


  現在常設展において、昨秋14年ぶりに里帰りした切込焼らっきょう形徳利を紹介しています(写真1)。肩から腰にかけて緩やかに膨らむ体部に、木瓜と月星のふたつの紋章と蛸唐草文が染付されるこの徳利、実はその底に切込焼の歴史を証明する重要な銘を有しているのです(写真2)。それによれば弘化2(1845)年に切込瀬戸山へ約200両を献金した四日市場村御蔵守長五郎に対して、瀬戸山の「取行人 鈴木長太郎」「棟梁 山下吉蔵」が贈った記念品であることが分かります。

 

 背面の月星紋

 

 

 

 

 

写真1 

染付木瓜・月星に蛸唐草文らっきょう形徳利(個人蔵)

嘉永7年銘  高さ38.2cm

写真2 

同 底銘

 実は200両献金(正確には217両2歩)については、その恩賞を記した古文書が先に発見されており、本徳利はそれを伝世品サイドから裏付けたことになります。更に古文書には記載がない献金の時期「弘化2年」がこの底銘によって明らかになりました。また当時の「切込瀬戸山」現場ツートップ(と思われる)の名が肩書入で確認できる等、切込焼史上大変重要な情報を有している切込焼です。当館平成16年秋季企画展にて紹介後は長く所在がつかめずにいましたが、昨秋、新所蔵者のご厚意により里帰りし、再び当館での展示が可能となりました 。 

 まさに2019年は長五郎、そして山下吉蔵没後155年(両名ともに元治元1864年没)。切込焼の歴史に新しい1ページを加えた‘生き証人’に、ぜひこの機会にご対面下さい。(古文書とともに紹介しています。)